中途採用の年間トレンド
- 迪宇 坂本
- 4月6日
- 読了時間: 6分

求人広告合同会社の広告コンサルタンです。
本コラムでは、中途採用の年間トレンドについて、包括的な分析を行います。
中途採用市場は、年間を通じて周期的な変動を示し、採用活動が活発になる時期と閑散期が存在します。主な採用手法は、求人サイトといった伝統的なものから、ダイレクト・リクルーティングやSNS採用といった、新しい手法へと多様化しています。
業種別に見ると、IT・通信業をはじめとする特定の分野で、高い採用ニーズが見られます。
経済状況は、中途採用の動向に大きな影響を与え、近年では、COVID-19パンデミックが採用活動のオンライン化や、求職者の働き方に対する意識の変化を加速させました。
これらの要素を詳細に分析し、今後の日本の企業が中途採用戦略を策定する上で重要な洞察を提供いたします。
はじめに
近年、労働人口の高齢化や、専門スキルを持つ人材の需要の高まりから、中途採用の重要性が増しています。企業が持続的な成長を遂げるためには、市場の動向を正確に把握し、効果的な採用戦略を策定することが不可欠です。
日本の中途採用市場における、年間を通じたトレンドを詳細に分析し、企業の人事担当者や経営層が、戦略的な意思決定を行うための情報を提供することを目的としています。
中途採用の年間サイクル
時期 | 採用活動の状況 | 背景 |
1月~2月 | 活発 | 年度末に向けた人員計画と新年度採用準備 |
4月~5月 | 低調 | 新年度の開始やゴールデンウィークの影響 |
6月 | 活発 | 夏の賞与後の転職活動が活発化 |
8月 | 低調 | 夏季休暇の影響 |
9月~10月 | 活発 | 下半期に向けた人員補充と人事異動 |
12月 | 低調 | 年末の繁忙期の影響 |
採用活動が活発な時期
1月~2月
この時期は、年間で最も中途採用が活発です。多くの企業が3月の年度末に向けて人員計画を立て、4月からの新年度開始に合わせた採用活動を強化するため、求人掲載件数が顕著に増加します。
また、3月末で現職に区切りをつけ、4月から新たな職場で働きたいと考える求職者が積極的に転職活動を開始します。年末に賞与を受け取り、年末調整を終えた求職者が、心機一転して新年度を新しい職場で迎えたいという意欲が高まることも、この時期の活況を後押しします。
このように、企業の採用意欲と、求職者の転職意欲が同時期に高まることが、1月~2月が最も活発な採用期間となる主な理由です。
6月
6月は、年間で2番目に中途採用が活発になる時期です。多くの企業が7月に夏の賞与を支給するため、賞与を受け取った後に転職活動を本格化させる求職者が増加します。彼らは、8月頃の入社を目標として、求人に応募し始める傾向があります。企業側も、このような求職者の動きに合わせて6月に「夏採用」を開始します。年度初めの繁忙期が落ち着き、新卒入社社員の研修も一段落する6月は、企業にとっても中途採用に注力しやすいタイミングとなります。
9月~10月
この時期は、下半期に向けた人員補充を行う企業が増えるため、中途採用市場が再び活性化します。4月から9月までの上半期で仕事に区切りをつけ、10月からの下半期に新しい職場で働きたいと考える求職者が転職活動を開始します。
企業の多くは、10月から下半期がスタートするため、人事異動などに合わせて求人を出すようになり、年末に退職する従業員の欠員補充も必要となります。1月~2月と同様に、期の変わり目は人の動きが活発になる傾向があるが、求人数は1月~2月ほど増加しないため、求職者と求人数のバランスが良いのが9月~10月の「秋採用」の特徴です。
採用活動が落ち着く時期
4月~5月
年度初めの4月と、ゴールデンウィークを含む5月は、中途採用市場が比較的落ち着く時期です。
4月は新年度が始まったばかりで、企業は新入社員の受け入れや組織体制の再編に注力することが多いです。また、1月~3月の活発な採用活動を経て、多くの求職者がすでに転職先を決定している可能性が高いです。5月には、大型連休があるため、企業の人事担当者も、求職者も採用活動に時間を割きにくい傾向があります。ただし、普段は忙しく働く優秀な人材が、長期休暇を利用して転職活動を行っている可能性もあり、応募数は少ないながらも、質の高い人材に出会える機会ともいえます。
8月
8月は、お盆休みや夏季休暇期間と重なるため、中途採用市場は閑散期となります。多くの企業が休業したり、社員が交代で休暇を取得したりするため、書類選考や面接などの採用活動が停滞しやすい傾向です。求職者も、休暇を取得することが多く、転職活動への意欲が低下する傾向があります。
12月
年末にあたる12月も、中途採用市場は、比較的落ち着いた時期となります。多くの企業が年末の繁忙期を迎え、業務に追われるため、採用活動に十分なリソースを割けない場合が多いです。また、求職者も年末年始の休暇を控えており、転職活動よりも、休暇準備に時間を費やす傾向があります。
主要な中途採用手法
手法 | 概要 |
求人サイト | dodaやマイナビ転職が主流 |
人材紹介 | 専門職や管理職向けの採用手法 |
ダイレクトリクルーティング | 企業が直接候補者にアプローチ |
SNS採用 | FacebookやInstagramを活用 |
リファラル採用 | 社員紹介による採用手法 |
アルムナイ採用 | 退職者の再雇用 |
転職フェア | 対面採用イベントの復活 |
業種別・職種別採用トレンド
業種 | 求人倍率 | 備考 |
IT・通信業 | 高い | DX推進により求人が増加 |
建設・不動産業 | 増加 | インフラ開発の影響 |
金融業 | 安定 | Fintech分野の成長 |
製造業 | 増加 | EV化や半導体産業の拡大 |
職種 | 求人倍率 | 備考 |
エンジニア | 高い | ITエンジニア、機械・電気エンジニアの需要が拡大 |
営業 | 安定 | 事業拡大に伴い、高い需要が継続 |
企画・管理 | 増加 | 企業成長に伴い戦略職が増加 |
経済状況が中途採用に与える影響
景気回復: 有効求人倍率の上昇が見られます。
低失業率: 労働市場が逼迫しています。
消費者信頼感指数: 求職者心理に影響を与えています。
変わりゆく採用環境:最近の出来事の影響
オンライン採用の定着: 面接・説明会のオンライン化が進んでいます。
柔軟な働き方: リモートワークの普及が進んでいます。
求職者の価値観変化: 給与だけでなく働きがいを重視する傾向が強まっています。
今後の予測と新たなトレンド
中途採用重視の継続: 即戦力採用の重要性が増しています。
未経験者歓迎求人の増加: 人材不足対策として未経験者採用が増加しています。
AIとデジタルツールの活用: 採用の効率化が進んでいます。
採用ブランディング: 企業文化の発信が重要になっています。
スキルベース採用の拡大: 経験だけでなく、スキルを重視した採用が進んでいます。
結論と提言
企業向け提言
採用戦略の多様化: ダイレクトリクルーティングやSNSを活用しましょう。
業界・職種別の採用計画: 市場の特性を考慮したアプローチを取り入れましょう。
魅力的な雇用条件の提示: 柔軟な働き方を提案しましょう。
採用ブランディングの強化: 企業の魅力を発信しましょう。
ポテンシャル採用の導入: 未経験者の育成を視野に入れましょう。
テクノロジー活用: AI・デジタルツールを導入しましょう。
年間サイクルに応じた計画: 採用活動の最適化を図りましょう。
良好な職場環境の整備: 働きがいを重視しましょう。
これらの施策を実行することで、企業は持続的な成長に必要な人材を確保できるでしょう。
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