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子どもを真ん中に取り戻す ――アメリカで進む「共同養育革命」から学ぶことNPO Shared Parenting Report Card 2025 より

  • 執筆者の写真: 迪宇 坂本
    迪宇 坂本
  • 10月13日
  • 読了時間: 68分

更新日:10月16日


共同養育

「親権争い」――

本来は、子どもの幸せを守るための制度のはずでした。

しかしいつの間にか、その言葉は戦いの象徴になってしまったのです。


愛するわが子を守りたいという想いが、

制度の中で「奪い合い」にすり替わってしまった。

裁判所という舞台で、愛が対立の形に変えられていく。


今、アメリカではこの構造そのものを根本から変える革命が進んでいます。


それが――

「共同養育(Shared Parenting)」という新しい考え方です。



使命(Mission)


全米両親機構(National Parents Organization, 以下NPO)は、両親が離婚・別居後も等しく子どもを養育できるようにすることで子どもの生活を向上させ、社会を強化することを使命としています。

全ての子どもが、両親が離婚・別居しても両親双方から愛情とケアを受ける権利を守ることで、この使命を達成します。


また、研究報告、公衆への啓発、家庭裁判所改革という3つの柱を通じて活動しています。



エグゼクティブ・サマリー(Executive Summary)


NPOは両親が別々に暮らす場合でも、子どもにとって両親が等しく関わる共同養育(shared parenting)が当たり前になる社会を目指し、子どもの幸福の促進に取り組んでいます。


研究者たちは今、明確な結論に近づいています。それは――「離れて暮らす両親のもとでも、子どもは両方の親と関わり続けることが最も望ましい」ということです。


この原則は、乳幼児から思春期まで、すべての子どもに当てはまります。


たとえ両親のあいだに小さな不和があっても、あるいは最初から共同養育に完全な合意がなくても、子どもは両方の親とのつながりの中でこそ、健やかに成長できる――それが、近年の研究が示す確かな共通認識なのです。


子どもが、健全で愛情のある父母それぞれとより平等に時間を過ごすほど、その恩恵は確実に大きくなります。


複数の研究が一貫して示しているのは、「離れて暮らす両親であっても、子どもの最善の利益のためには双方が等しく養育に関わるべきだ」という事実です。この科学的知見は、法律においても――共同養育を原則とし、例外がある場合のみ反証できる(rebuttable presumption)という制度設計を強く後押ししています。


こうした研究の積み重ねを受けて、NPOは2014年、全米50州の家族法を対象に、「どの州が共同養育をどこまで促進しているか」を初めて評価しました。それが『共同養育レポートカード(Report Card)』の始まりです。


2019年には改訂版を公表、そして本2025年版では――2019年以降の6年間で、各州がどのように進展したのかを詳細に分析しています。


結果は明暗が分かれました。


この6年間で、わずか数州が大きな進歩を遂げ、平等な共同養育を法的に「推定」する仕組みを導入しました。その他のいくつかの州も、劇的ではないものの、確実に前向きな一歩を踏み出し、離婚・別居後の子どもたちにより良い結果をもたらす法改正を実現しました。


しかし――残念ながら大多数の州では、依然として「親のどちらかを優先する」旧来の制度が残っています。


科学はすでに結論を出しているにもかかわらず、多くの州議会がまだ、子どもが両方の親と関わる権利を守るための法改正に踏み切れていないのです。

「子どもの最善の利益とは、愛されること。そして、両方の親から愛され続けること。」

この単純な真実を、社会の制度にどう組み込むか――それが、2025年のいま問われている本質です。


2025年版NPO調査によれば、各州の共同養育法制は着実に改善傾向にあります。


《州ごとの成績まとめ》

評価

2014年

2019年

2025年

増減

A評価

0州

2州

6州

+4州

B評価

8州

7州

10州

+3州

C評価

18州

26州

19州

−7州

D評価

23州

14州

14州

±0

F評価

2州

2州

2州

±0

📊 平均評価:2014年「D+」 → 2019年「C−」 → 2025年「C」へと、確実な上昇を記録。


この結果は、少なくとも法制度上では「共同養育を子どもの基本権として位置づける動き」が、全米レベルで広がっていることを示しています。


NPOは共同養育に関する法令が不十分な州に対し、別居した両親の子どもの幸福に関する研究を再検討し、「両親が共に子育てに関与することが子の最善の利益に適う」という反証可能な推定を定める法律を制定するよう呼びかけます。


そうした推定規定は、子どもの幸福に関する研究によって裏付けられているだけでなく、市民からも圧倒的支持を受けており、実際にそれを導入した州では成功を収め高い支持を得ています。

子どもは、適格で愛情ある両親がともに子育てに積極的に関わり続けることを当然と推定される権利を持っており、それは両親が同居しているか否かに関わりません。



共同養育の動向(Shared Parenting Trends)


ひとり親家庭 vs 共同養育家庭(Single Parenting Versus Shared Parenting)


長年にわたる多数の研究が示すところでは、ひとり親家庭(単独親による養育)の子どもは(米国で約25%、1,800万人以上)、両親が関与して育つ子どもと比べて、心理的・情緒的な幸福度、身体的・精神的健康、将来的な労働市場での成果や資産形成などで低い結果を示すだけでなく、児童虐待、非行や薬物乱用など社会的病理現象にも陥りやすいことが明らかになっています(注1)。


例えば、両親のうち一方しか関与しない家庭で育った子どもは、次のようなリスクが高いと報告されています。


  • 学業不振になる

  • 違法薬物の使用

  • 犯罪への関与

  • ギャングへの関与

  • 性的暴行の被害

  • 早期の性的活動

  • 10代での妊娠

  • 自殺で命を落とす

(注1)引用文献番号[1]~[9]は上記の研究に対応し、文末の参考文献一覧に記載されています。


ひとり親家庭の社会的コストは莫大です。


両親とも子育てをする意思と能力がある場合、両親が等しく子育てに関与し続けることは子どもにとって良いだけでなく、優れた社会政策・経済政策でもあります。


実際に、離婚・別居後の共同養育は、単独親権下で育つ場合と比べて子どもの学業・認知面、情緒・心理面(うつ、ストレス、自尊心など)、行動面(非行や薬物乱用など)、身体的・精神的健康、親子関係といった多方面の指標で一貫して良好な結果をもたらすことが示されています。


両親にとっても、共同養育は養育費の履行率向上両親間の葛藤・家庭内暴力の減少と有意な相関があります(詳細は後述)。共同養育により、両親それぞれが片親だけで子育てする負担なくキャリアや社会生活など他の活動を追求することも可能になります。



社会科学のコンセンサス(Social Science Consensus)


近年、社会科学の分野では共同養育を以前にも増して強い表現で支持するようになり、共同養育の法的推定を採用すべきとの提言に至っています。以下に、その動きを概観します。


  • 2013年: 家族調停裁判所協会(AFCC)が32人の家族法専門家による勧告を公表しました。このグループは「子どもの最善の利益は、安全かつ安心で発達に見合った継続的な共同養育関係を提供し、全ての家族に一律の時間分担を強いるテンプレートは避ける計画によって促進される」と結論づけました[注2]。彼らは多くの但し書きを付しつつも、「一連の研究全体から総合すると、就学前以上の子どもについて共同養育の有効性は裏付けられている」とも述べています。また「こうした(共同養育を選択する)両親の子どもは、単独親権や継親家庭で育つ子どもより様々な尺度でより良好に適応している」と報告されていると記しています。

  • 2014年: 国際的な有識者110名が支持した「Warshakコンセンサス文書」が、「共同養育は全ての年齢の子ども(幼児を含む)の養育計画において規範となるべきである。ただし一部の親や状況は共同養育に適さない場合がある」と結論づけました。

  • 2018年: 2017年の国際共同養育会議を経て、12名の国際的専門家が論文を発表し、「現在入手できる証拠は極めて十分であるため、政策立案者に対し共同養育(SP)の法的推定を暫定的に提言できる」と表明しました。彼らは慎重な言い回しながら、「現在の証拠の状態は、『証拠の優勢(preponderance of evidence)』と言うに相応しい。つまり共同養育推定を支持する証拠が反対する証拠を実質的に上回っている」と述べています。

  • 2019年: 権威ある『オックスフォード子どもと法律ハンドブック』に掲載された研究は、「両親の合意がある場合だけでなく、合意がなくても平等な共同養育時間を法的に推定することは子どもの最善の利益に適う。なぜなら、そのような推定は離婚・別居家庭の子どもの情緒的安心感を高め、結果として公衆衛生に広範な良い影響をもたらすからだ」と強力な証拠を示しました。

  • 2021年: アリゾナ州立大学の研究は、共同養育による子どもの好結果は、単に共同養育を選択する親が高学歴・高所得であることだけが原因ではなく、親の責任分担そのものによるという強い証拠を提示しました。

  • 2023年: 第6回国際共同養育会議で国際共同養育評議会(ICSP)は、「現在の研究証拠に基づけば、社会科学者は政策立案者に共同養育の推定導入を自信をもって勧告できる。共同養育には十分な証拠が揃っており、推定を推進する側ではなく反対する側が立証責任を負うべき時代になった」と結論付けました(2023年5月12日付プレスリリースおよび会議声明より)。

  • 2023年: 離婚後の子どもの生活環境に関する最新かつ包括的な系統的レビューでは、「75%の研究において、両親が共同身体的監護(shared physical custody)で育った子どもは、両親が離婚しておらず一緒に育った子ども(核家庭)と同等の成果を上げている」と結論づけました。一方、片方の親だけに育てられた子どもは最悪の結果を示す傾向があり、その良い結果は両親双方からの人的・経済的リソースによるものだとしています。

  • 2024年: スペインにおける画期的研究は、共同身体的親権の推定が別居する両親間の親密なパートナー暴力(IPV)を減少させる強力な証拠を提示しました。2010年前後にスペインの5地域で共同身体的親権の推定が導入されましたが他地域では導入されなかった、という「自然実験」の結果、推定導入地域ではドメスティックバイオレンスが大幅に減少し(最大で約50%減)、さらにパートナーによる女性殺害件数も有意に減少したと報告しています。


こうした状況について、ある第一線の研究者は次のように述べています。


「今入手できる証拠は極めて説得力があり、平等な養育時間の推定を法制化しないことは、子どもの両親に対する情緒的安心感に不必要な害を及ぼすリスクを生じさせる。結果として離婚家庭の子どもの長期的なストレス関連の心身の健康問題という形で、公衆衛生にも不必要な悪影響を与えかねない」


子どもの幸福や離婚後の養育体制に関する最近の査読付き研究へのリンク集は、NPOの「共同養育の研究リソース」ページをご参照ください。



片親疎外(パレンタル・アリエネーション)と共同養育(Parental Alienation and Shared Parenting)


片親疎外(Parental alienation)とは、子どもが(通常は両親の深刻な不和下で)片方の親(疎外する側)と強く連携し、もう一方の親(標的とされた親)との関係を正当な理由なく拒絶する精神的状態を指します。


疎外行為には、子どもに対しもう一方の親について毒を吹き込む、相手の親を「子どもに愛情がなく危険で不在がち」と悪者に仕立てる、相手の親の権威をおとしめる、子どもと相手親との連絡や接触を妨げる、子どもの心の中から相手親の存在を消し自分が取って代わる、子どもに相手親の信頼を裏切らせる、といった行為が含まれます。


※片親疎外に関する詳細情報は「Parental Alienation Study Group (PASG)」のサイト(www.pasg.info)をご覧ください。


片親疎外の被害児は、社会性・情緒の発達が妨げられ、人間関係への不信感、対人不安、社会的孤立を経験します。こうした子は不登校や中途退学、成人後の失業、アルコール・薬物依存、早婚・離婚、自らの子どもを疎外する親になるなどのリスクが高いとの報告もあります。


そのため、多くの専門家は、片親疎外は児童虐待の一形態と見なしています。


片親疎外に晒される子どもの推定人数は研究によって幅があり、係争中の親権ケースの11%~40%とも言われます。


最近の研究では、「親から疎外された子ども」は米国全人口の約1.3%(約450万人)に及ぶとも推計されています。このような子どもへの害を重視し、サウスダコタ州は法律で「他方の親との関係を意図的に疎外・干渉したか」を親権判断の不利要素として明確に定めました(サウスダコタ州法25-4A-24(9))。


別居した両親による共同養育は、片親疎外に対する防止策となり得ます。共同の法的親権は、標的親に「通常の親権」が無いと子に思い込ませる疎外メッセージに対抗します。また共同の身体的親権は、子どもが両親それぞれと十分な時間を過ごし直接「両親がともに安全で愛情深く自分にとって身近な存在である」ことを体験できるよう保証し、子どもに安心感を与えます。


また共同養育の法的推定は別の面でも片親疎外を防ぐ可能性があります。


時に一方の親は子どもの親権確保を目的として疎外行為に及びますが、平等な共同養育を法的に推定することで、片親が「非監護親」にされて子どもとの関係を失うことへの恐怖を和らげる効果が期待できます。



世論の一致(Public Opinion Consensus)


共同養育の実践共同養育の法的推定の双方について、国民の支持は驚くほど高い水準にあります。独立系の世論調査は29州で実施され、以下の結果が示されています。


  • 87%以上(平均95%)の人々が「子どもはできる限り両親それぞれと多くの時間を過ごすのが子の最善の利益である」「離婚・別居後の子には両親の双方と平等またはそれに近い時間を過ごす権利がある」と考えています。

  • 80%(平均86%)の人々が「両親間に葛藤がある場合、一方の親に子どもの単独親権を与えるとその葛藤が増幅する」と考えています。

  • 80%以上(平均86%)の人々が「州法を改正して、共同養育が子の最善の利益であることを推定(反証可能)する規定を設けること」に賛成しています。

※各州別の詳しい結果はNPOのウェブサイト内「共同養育に関する世論調査」ページをご覧ください。


現在米国は極度の政治的分断の時代にありますが、これほどまでの高支持は特筆すべきことで、人種・年齢・政治的傾向・性別を問わず平等な共同養育とその法的推定を圧倒的に支持するという点で国民は一致しています。このアメリカでの傾向は海外の世論調査とも一致しており、諸外国でも平均75%が共同養育を支持しています。


2018年に共同養育の明確な法的推定を全米初めて導入したケンタッキー州における世論調査では、新法について支持が反対の6倍に達したとの結果も出ています。


さらに、共同養育は有権者の投票行動にも影響する争点となりつつあります。2020年以降に実施された全ての州の世論調査で、80%以上(平均93%)の回答者が「子どもが離婚・別居後に両親それぞれと十分な(平等に近い)時間を過ごせるよう支持する候補者に投票したい」と答えたのです。



法曹界での受け止め(Reception by the Legal Community)


法曹界の一部には平等な共同養育推定の導入に抵抗する声もありましたが、一旦導入されると法曹界からも支持を受けるという調査データや経験談があります。


例えばアリゾナ州では、共同養育法導入から約5年後に行われた調査で、心理専門職、弁護士、判事、調停所職員が新法を肯定的に評価したことが報告されています。


ケンタッキー州では2018年の平等共同養育法の当初、判事らは懐疑的でした。しかし施行から6年が経ち、同州バーレン郡家庭裁判所のマイカ・ウッド・ペンス判事は次のように述べています。


「まず断っておくと、当時我々(法曹界)はまったく喜んでいませんでした ― 弁護士も判事もです。2018年、私は離婚・親権法の弁護士を10年務めた後に判事に就任した年でした。しかし私の判断は大間違いでした! この法律のおかげで、親がより積極的に子どもの生活に関わるようになる姿を見届けられるのは本当に素晴らしいことです。片方の親に毎週末と週一日しか子どもと過ごせないようにする旧来の制度は、良い親にとって全く十分ではありませんでした。現実には子どもには愛情を注ぎ時間を過ごしたいと願う良い親が二人いることが多いのです。…大きな利点の一つは、家族の一体感が増すことです。…裁判に費やす時間も減ったと思います。…今では争う理由自体が少なくなったことが分かりました」


(上記は2024年9月3日に公開されたM.W.ペンス判事の発言)


2019年以降の法改正動向(Legislative Changes Since 2019)


2019年版NPOレポートカード以降、米国各州では子どもの親権に関する立法が大きく動きました。以下に2019年以降の全国的な進捗の概要を示します。


  • 2021年: アーカンソー州は(2018年に初導入したケンタッキー州に次いで)全米で2番目に、「共同親権は子の最善の利益に適う」という明確な反証可能な法的推定を制定しました。同時に、既存法令で「共同親権」とは「両親それぞれが子と過ごす時間をほぼ均等かつ合理的に分担すること」と定義されていました。

  • 2022年: ウェストバージニア州は「子どもの最善の利益は(50対50の)平等な親権配分にある」という推定(優勢証拠で反証可能)を創設し、推定が覆された場合には「子どもと各親が過ごす時間を可能な限り最大化しつつ子の福祉を確保する」養育計画を裁判所が構築するよう定めました。

  • 2023年: フロリダ州とミズーリ州がともに平等な共同養育の反証可能な推定を法律に盛り込みました。

    • フロリダ州法には「未成年の子にとって両親が平等に時間を分かち合うことが子の最善の利益である」という反証可能な推定が明記され、さらに「裁判所は未成年の子の養育責任を両親が共有するよう命じなければならない。ただし共有が子に有害となる場合を除く」との規定も設けられました。

    • ミズーリ州法には「各親に等しい又はそれに近い養育時間を与えることが子の最善の利益に適う」という反証可能な推定が定められました。

  • その他の主な改善策:

    • ミネソタ州: NPOが米国家族法学会・ミネソタ州法曹協会と協働した結果、同州では共同養育に関する基本方針が強化され、養育時間の裁判所命令の履行を確保する新たな仕組みが創設されました。この仕組みでは迅速な審理、被害を受けた親への補償的な養育時間の推定付与、違反親への罰金推定などが導入されています。

    • ニューハンプシャー州: NPOが立法者や支援団体と精力的に連携した結果、2023年にHB185号法案が成立し同州の共同養育法が強化されました。当初案は残念ながら修正で大幅に骨抜きとなりましたが、それでも最終成立版では「裁判所が約半分の養育時間を否定する場合には理由となる事実認定を示すこと」が裁判所に義務付けられました。

    • オレゴン州: 2019年にSB318号法が成立し、裁判所が平等な養育時間を命じる権限が明確に認められました。また「親の一方が平等な養育時間を求めた場合、裁判所はそれが子の最善の利益に反するか子の安全を損なうと書面で認定しない限り、その求めを却下できない」とも規定されました。

    • テキサス州: 2021年にSB1936号法が成立し、両親が50マイル以内に居住する場合の標準的な養育時間命令(子の親権を持たない親に与えられる面会交流時間の基準)が拡大され、子どもが非監護親と過ごす時間が全体の40%以上になるよう変更されました。

    • ユタ州: 2021年にSB122号法が成立し、助言的スケジュール(裁判所が推奨する面会交流日程)が変更され、従前より非監護親が子どもと過ごす時間が増加しました。また新たに「オプションの拡張日程」が導入され、平等な養育時間の選択肢も設けられました。さらに2022年にはSB243号法が成立し、助言的スケジュールでの非監護親の時間をさらに増やすとともに、違反した親への罰則も設定しています。

  • 2019~2025年の立法活動の状況: 2019~2025年の5年間で、最も多く共同養育関連法案が提出されたのは ミネソタ州(22件)、ミズーリ州(16件)、ニューヨーク州(13件)、インディアナ州(12件)、フロリダ州(11件)でした。少なくとも5件以上の法案が提出された州は16州に上ります。一方、全く法案が提出されなかったのは カリフォルニア州、コロラド州、デラウェア州、ケンタッキー州、ルイジアナ州、メイン州、ネバダ州、ロードアイランド州、ウィスコンシン州でした。ただしケンタッキー州は2018年に既に画期的法律を成立させているため、その後提案が無かったことは注意すべき点です。

  • 2025年時点で最低評価(F)の2州は2019年と変わらずロードアイランド州とニューヨーク州です。ロードアイランド州は2014年以降、NPOレポートカードの評価を改善し得る共同養育法案を一つも提出していません。一方ニューヨーク州では2014年以降22件、2019年以降13件もの法案が提出されながら、依然実現に至っていません。


連邦政府は共同養育に関する統計を追跡していませんが、世界保健機関(WHO)の調査によれば米国全体での共同養育率は20~25%程度と推計されています。


研究論文によれば州レベルではウィスコンシン州45%、アリゾナ州44%、ワシントン州34%、カリフォルニア州27%との報告もあります。


米国で共同養育の採用が進む動きは先進国全体の世界的潮流の一部です。2015年には欧州評議会(COE)が欧州各国に共同養育立法を促す決議を採択しました。2018年には同評議会の事務次長が「可能な場合には別居・離婚時に共同養育を支持すべきだという明らかな合意が広がりつつある」と現状をまとめています。


なお、国際共同養育評議会(ICSP)はこのNPOレポートカードをモデルにした「ヨーロッパ共同養育レポートカード」の作成を進めています。これにより、各国の子どもの親権法制をより精緻に比較分析できるようになるでしょう。



本報告書の対象範囲:限定事項および留意事項(Subject Matter of the Report: Limitations and Caveats)


対象範囲(Subject Matter)


NPOは両親が別居した子どもの最善の利益のために、平等な共同養育が当たり前になるよう取り組むことで子どもの幸福促進に尽力しています。その目的の一環として、全米50州とワシントンD.C.の共同養育関連法規を精査しました。最終的に子どもにとって最も重要なのは実際に別居家庭でどのような養育が行われているかですが、その実態には家裁判決などが大きく影響します。


しかし、本報告書ではNPO過去レポート同様、各州の実際の親権パターンや家裁判断(判例)自体を調査対象とはしていません。代わりに、各州の共同養育に関する法令に着目して評価を行っています。


そもそもどの州でも、判事は自らの裁量で共同養育を命じることができます。


しかし残念ながら、多くの州では両親双方が同意する場合でなければそうした判決はめったに下されません。さらにほとんどの州では家裁の親権判断の実態が十分に記録公表されておらず、信頼できる包括的データが存在しません。


そのため全州横断的に共同養育命令の実際の普及度を確実に把握することは困難です。


しかし実際の別居家庭での養育のされ方は、判決に強く影響され、判決は各州の判例や法令に強く左右されます。例えばニューヨーク州には共同養育を明示的に認める法令がありませんが、Braiman対Braiman事件(44 N.Y.2d 584; 378 N.E.2d 1019)の判例が家裁判事に一定の共同養育命令を可能にしています。もっとも判例は明文化された法律ほど強力ではなく、判事は判例との個別事情の違いを示せればそれと異なる判断も可能ですが、明示的な法律に反する判断はより困難になります。


法令と実際の判決の間には乖離がある場合もあります。ある州では共同養育に関する法令が弱くても、判例や家裁の運用次第で実際には強く共同養育が支持されていることもあります。


例えばウィスコンシン州では、近年新法がなくとも家裁の共同養育命令が増加傾向にある証拠があります。逆に法令上は共同養育を強く定めていても、家裁判事の幅広い裁量により共同養育が骨抜きにされている州も存在します。


このように法令と判決の間にギャップがあり得ますが、法令規定が極めて重要であることは少なくとも二つの理由があります。


【第一に】ほとんどの裁判所はその州の法律に最大限従おうとするものです。

【第二に】法律を通じてこそ州は国民に対し「裁判で自分たちがどう扱われ、何を期待すべきか」を最も直接的・明確に示します。


近年、法廷で弁護士を付けない親が増えている現状では特に、判例や裁判実務に通じた高度な知識を持たない一般の親でも、明快な法律規定であれば知ることができます。そのため親が平等に共同養育することを促進する明確な法令は非常に重要なのです。


本2025年NPOレポートカードでは、全50州とワシントンD.C.の共同養育関連法令を評価し、それが子どもの最善の利益(両親が等しく共同養育すること)の促進度を点数化しています。各州の判例や家裁の実際の親権判断そのものは評価対象に含めていません。



限定事項・留意点(Limitations & Caveats)


本報告書では、各州の共同養育支援法制を評価する際に考慮すべき2つの要素を対象外としています。ただし1点だけ例外があります。


対象外の要素:

(a) 親権侵害(養育時間の妨害)に対処する法令規定(面会交流の不履行・妨害など)(b) 親権争いで虚偽のDV申し立てがなされた場合の対処に関する法令規定(故意または軽率に事実と異なる家庭内暴力を申し立て親権判断に影響を及ぼす行為)。


例外:上記(b)について、本調査では「共同養育の法的推定を定める州が、意図的な虚偽DV申立てに対する家裁救済を設けているか」を部分的に評価項目に含めています。こうした規定は通常、虚偽申立てを親権判断上の不利要素とする形で法令に盛り込まれています。


将来のNPOレポートカードでは、養育時間の強制履行や虚偽DV申立て対策の規定も評価項目に加える可能性がありますが、本報告書ではそれらを点数には反映していません。ただし当該分野の優れた立法例については巻末のノートでいくつか紹介しています。



養育時間の履行確保(Parenting Time Enforcement)


養育時間命令は、遵守を怠る親に対する十分な法的手段がなければ期待された効果を発揮しません。面会交流を妨害する親に対する法廷侮辱罪による制裁は、コストと時間がかかる割に効果が乏しく、悪質かつ再三の違反でもない限り十分な抑止力となりません。違反行為の深刻さに応じたより幅広い手段を用意し、迅速かつ低コストで履行を確保して両親関係の悪化を防ぐことが必要です。


比較的軽微なケース(重大なケースの前兆となりうる)への対処として、ミズーリ州が先駆けとなった「家族アクセス申立て」(Family Access Motions)があります。これは親が弁護士なし(本人申立)で提出でき、60日以内の審理、補償的な養育時間、少額の罰金、カウンセリング命令等を救済策として含む制度です。ミズーリ州では適切な手段を提供することで面会妨害行為への効果的抑止が実現しており、ニューハンプシャー州も同様の制度を導入しました。


他にもミズーリ州のような仕組みを持つ州はいくつかありますが、ミズーリ州ほど申立者自身が利用しやすい形になっていない場合もあります。


例として、フロリダ州やイリノイ州、カンザス州、そして最近改正を行ったミネソタ州では、ミズーリ州の迅速審理など一部を取り入れつつも、本人申立しやすい工夫が十分でないと指摘されています。


軽微なケースへの他の対処法も存在します。例えばカリフォルニア州では、「監護・面会命令に違反し子どもとの面会を妨げられた場合、金銭補償を命じる」権限を裁判所に与えています。またテキサス州では、監護権侵害に対し市町村が条例で民事制裁を課すことを認める法律が制定され、実際にラレド市、エルパソ市、リーグシティ市など複数で導入されています。これにより子どもが命令通り両親と過ごす権利を守る取り組みが進められています。


一方、悪質な養育時間妨害には、より重い執行手段が求められます。ほとんどの州では監護権侵害自体が犯罪で、州によっては軽罪や重罪に当たります。



虚偽の家庭内暴力申立て(False Allegations of Family Violence)


養育時間が妨害される理由として、虚偽の児童虐待申立てが行われる場合があります。


裁判所は子どもの虐待申立てがあると当然すぐに対応しようとしますが、もしその申立てが嘘だった場合、多くの州では一度失われた子どもと片親との時間は取り戻されないままです。


2024年、テキサス州は虚偽の虐待申立ての戦術的利用に対処する革新的な法律SB718(通称「奪われた時間を取り戻す法」)を成立させました。この法律は虚偽申立てにより親子の面会時間が奪われた場合、奪われた分の補償的時間を与えることを定めています。


虚偽の家庭内暴力申立てについて、NPOはあくまで反証可能な平等共同養育推定を支持しており、それは科学界からの支持も得ています。


NPOが支持する共同養育推定を「自動的に共同親権を与えるもの」「裁判所に共同親権を義務付けるもの」といった表現は不正確かつ誤解を招くもので、実際には裁判所は「平等な共同養育が子の最善の利益である」という推定から判断を始めるだけです。


この推定は様々な事由—たとえば両親の居住地の距離や家庭内暴力の履歴等—によって覆すことができます。裁判所は虐待事案ではこの推定を排除し被害防止に動かなければならず、そのためには申立ての真偽を見極める必要があります。


虚偽の家庭内暴力申立ての頻度は議論がありますが、大規模研究では児童虐待の申立ての25%が根拠なく、悪意をもってなされた(申し立てた者が虚偽と知りつつ行った)との結果もあります。また共同養育推定があると、親権を独占したい一部の親が戦略的に虚偽申立てを行う可能性が示唆されています。


現在得られる証拠は、平等共同養育の推定を導入しても家庭内暴力の潜在的被害者をむしろ保護する効果があることを示しています。それでも裁判所が虐待親を確実に見極め被害を防ぐことは極めて重要であり、その一環として申立ての真偽を確保する必要があります。


偽証罪の規定はありますが、虚偽申立ての抑止策としては現実的に機能していません。実際、離婚事件で嘘をついても偽証罪で起訴されることはまず無いからです。こうした事情を認識した複数の州議会は、故意の虚偽DV申立ての抑止策を講じています。


一つの方法は「故意の虚偽申立て」を親権判断の不利要素として明記することです。フロリダ州、ハワイ州、メイン州、ミネソタ州、ノースダコタ州、サウスダコタ州が「虚偽申立てを親権判断のマイナス要素とする」規定を設けています。


NPOは、親権判断で「故意または軽率な虚偽DV申立て」があったかを負の要素とすることで抑止力が高まると考えます。それにより両親の間の葛藤が減り共同養育が円滑になり、根拠のある申立ての信憑性も高まるというメリットがあります。もっとも、明らかに虚偽かつ戦略目的の申立てが行われても子どもと適格な親との接触が奪われないよう、更なる対策も必要です。


テキサス州で先述の「奪われた時間を取り戻す」法律が導入されたのは、養育時間の履行確保策であると同時に、虚偽申立てによって得られる利点を無くす効果もあります。



方法論(Methodology)


手順(Process)


NPOは2019年版レポートカードにおいて、各州およびD.C.の子どもの親権関連法21の評価項目で分析し、各州の法令が「真の共同養育」をどの程度促進しているかを評価しました。このコード化した項目を加重したアルゴリズムで算出したスコアにより各州の評価(成績)を決定し、加えて各州法の長所と弱点を報告しています。


2025年版では2019年版と同一の指標と方法論を用いているため、2019年以降に関係法を改正した州を調査対象としました。どの州で法改正が行われたかを把握するために、NPOの調査チームは全米州議会会議(NCSL)やLegiScanその他の情報源を用いました。また、新たな情報に照らして2019年当時の評価を再検討し、いくつかの州については再評価を行いました。なお、評価指標に影響しない小規模改正については再調査していません。



主要な法令項目(Key Statutory Provisions)

NPO調査チームは、2019年以降に法改正を行った各州の子どもの親権法全文を分析し【13†L1147-1154】、2019年レポートと同じ基準で評価・採点しました。主な評価観点(基準となる法令要素)は以下の通りです。


  • 明示的な許可(Permission): 法令は共同養育(共同親権)を明示的に許容しているか?

  • 基本方針(Policy): 法令に共同養育を奨励する基本方針が含まれているか?

  • 優先規定(Preference): 法令は共同養育を優先する旨を定めているか?また「友好的な親(friendly parent)」要素(虐待がない限り、もう一方の親との密接で継続的な関係を促す親の意思と能力が子の最善の利益になるという考え方)を認識し評価しているか?

  • 推定規定(Presumption): 法令は両親が合意しない場合でも共同養育が子の最善の利益であるとの反証可能な推定を定めているか?またDV事案を明確に例外とする規定があるか?さらに裁判所がその推定から逸脱する際に理由説明を義務付けているか?そして共同養育推定がDV事案で覆された場合に、悪意のある虚偽DV申立てを抑止する家裁での救済手段が定められているか?

(注2) 強調は原文。


(脚注:) 両親の合意がある場合のみ共同養育を推定する規定は、実質的には「親が子の養育方法を決める能力の推定(親の適格性に対する推定)」であり、共同養育そのものの推定ではない。また“裁判所が独自に共同養育が最善と判断した場合のみ共同養育を推定する”規定も、子の最善の利益に関する推定ではなく、そもそも裁判所は普遍的に子の最善の利益に基づき親権を決める義務があるため、そのような推定は不要である。


定義(Definitions)


  • 「子の最善の利益」とは何か ――定義なき原則の限界

    家族法の世界で最も頻繁に使われる言葉のひとつに、「子の最善の利益(Best Interest of the Child)」 があります。

    しかしその一方で、この言葉ほど定義があいまいな概念もありません。

    多くの州では、裁判所が親権を判断する際に考慮すべき要素のリスト――たとえば「子どもの年齢」「健康」「家庭環境」「親の養育能力」など――を定めています。ところが、それぞれの要素をどの程度重視するべきかという基準は明示されておらず、最終的な判断は裁判官の広い裁量に委ねられています。

    そのため、同じような事実関係でも、裁判所によってまったく異なる結論が導かれることが少なくありません。さらに問題なのは、そうした判断が必ずしも科学的根拠――特に子どもの幸福に関する研究成果――に基づいていないことです。

  

  科学が導いた明確な合意 ――「共同養育こそ最善」

しかし今、子どもの発達心理学や社会学の分野では、このあいまいさを終わらせるほどの強固なコンセンサス(合意)が形成されつつあります。

それはこうした明快な結論です。

「両親が別居していても、適格で愛情ある両親がともに子育てに関わることこそ、ほとんどのケースで子どもの最善の利益に適う。」

この判断は、国内外の多くの実証研究に支えられています。その研究手法や対象年齢、幸福度の測定指標はさまざまですが、どの研究も同じ方向を指し示しています。

すなわち、

  • 子どもは、父母の双方と安定した関係を保つとき、最も精神的に健やかに育つ。

  • 両親のどちらかが排除されると、長期的に情緒・学業・社会性に悪影響が出る。

これらの知見はもはや“意見”ではなく、エビデンスに基づく確立された科学的事実です。


「平等な共同養育」(Equal Shared Parenting)

離婚・別居後において、父母が共同で法的親権(Legal Custody)を持ち、さらに子どもと過ごす時間(身体的親権・Physical Custody)をほぼ平等に分け合う養育形態を指します。子どもの意思や生活環境を尊重しながら、父母が協働して育てる仕組みです。


「頻繁かつ継続的な接触」(Frequent and Continuing Contact)

家族法で頻繁に使われる用語で、離婚後の子どもと各親との定期的で継続的な交流を意味します。

ただし、具体的な定義は明確ではなく、州によっては「月1回1日の面会」や「夏休み1週間の滞在」でもこの要件を満たすと判断されることがあります。つまり、“頻繁”の基準は州や裁判官によって大きく異なるのが現状です。


「友好的な親要素」(Friendly Parent Factor)

親権判断の際に考慮される要素のひとつで、「虐待がない限り、他方の親との良好で継続的な関係を促そうとする親」をより望ましい親として評価する考え方です。


この要素は、親同士の対立を減らし、子どもにとって安定した環境を維持する目的で導入されています。


「法的親権」(Legal Custody)

裁判所によって与えられる権利で、子どもの教育・医療・宗教など、生活上の重要な決定を行う責任を意味します。

ただし、多くの研究者が指摘しているように、実際に子どもと過ごす時間(身体的親権)が十分でなければ、法的親権だけでは実質的な意味を持たないことが多いとされています。


「最大化条項」(Maximizing Time Provision)

一部の州法に見られる規定で、「各親が子どもと過ごす時間を可能な限り最大化する」ことを裁判所に求める条項です。

たとえばアリゾナ州では、この規定が事実上、平等な身体的親権を推定するものとして強く運用されていると報告されています。ただし、他の州で同様の運用が行われるかは、まだ明確ではありません。


「両親の平等性」(Parental Equality)

子育てに関する権利と責任において、性別にかかわらず両親を平等に扱うという原則です。

これは、母親・父親のどちらかが自動的に優先される旧来の考え方を排し、「親としての役割は等しく尊重されるべき」という理念を表しています。


「身体的親権」(Physical Custody)

裁判所によって与えられる権利で、子どもの日常生活の世話・同居・監護を行う権限を意味します。多くの場合、これが「どちらの家で過ごす時間が多いか」を決める要素となります。


「反証可能な推定」(Rebuttable Presumption)

本報告書で繰り返し登場する概念で、法律上、一定の形を「原則」として推定する仕組みを指します。

ただし、それに反する明確な証拠が提出された場合には、その推定は覆す(rebut)ことができます。共同養育においては、「両親が等しく子育てに関わることが子どもの最善である」という推定が基本となっています。


NPOについて(About National Parents Organization)


ミッション(Mission): 「離婚・別居後も子どもが両親双方から愛情とケアを受ける権利」を守ることで子どもの生活を向上させ社会を強化することがNPOの使命です。


ビジョン(Vision): NPO(National Parents Organization、全米両親機構)の究極の目標は共同養育の推進であり、そのために親や離婚関連の専門家、立法者への教育や家裁・法律の改革に取り組んでいます。NPOは次のような社会を構想しています。

  • 別居・離婚後の共同養育が標準となる社会

  • 子どもの両親それぞれから養育され導かれる自然な権利が完全に尊重される社会

  • 母親と父親が子どもの幸福に等しく重要と扱われる社会

  • 親の離婚・別居後も子どもと両親および親族との愛情ある絆が守られ、子どもがより幸せで成功できる社会

  • 離婚・別居後の経済的手当が両親双方に子どもと自分自身を養える水準となるよう裁判所が財政面を調整する社会

(より詳しい情報は NPO公式サイト SharedParenting.org をご参照ください。)


NPOの理事会役員: (州名は拠点)

  • ドナルド・C・ハビン博士(理事長、オハイオ州)

  • マット・ヘイルMBA(ケンタッキー州)

  • カム・ハフマンBS(ウェストバージニア州)

  • ジョージ・ピスコー SM, MASc, LLM, PEng(カナダ・オンタリオ州)

  • リンダ・ロイツェル(ミズーリ州)

  • オペレーション・ディレクター:リアナ・ヴェレット


レポートカード作成チーム: 本調査の主執筆者は以下の通りです【15†L1379-1387】。

(※以下、2019年版レポートカードの謝辞・著者連絡先が記載されています。)


付録A:州別評価マップ(Map – Grades By States)

  • 6州が「A」評価を獲得

  • 10州およびワシントンD.C.が「B」評価を獲得

  • 19州が「C」評価を獲得

  • 14州が「D」評価を獲得

  • 2州が「F」評価を獲得


付録B:評価順の州一覧(Listing – States By Grades)

  • A+: アリゾナ州、ウェストバージニア州

  • A: フロリダ州、ケンタッキー州、ミズーリ州

  • A-: アーカンソー州

  • B+: ワシントンD.C.(コロンビア特別区)

  • B: アイオワ州、ネバダ州

  • B-: ルイジアナ州、ミネソタ州、サウスダコタ州、テネシー州、テキサス州、ユタ州、ウィスコンシン州

  • C+: アラスカ州、アイダホ州、ニューメキシコ州

  • C: コロラド州、デラウェア州、ジョージア州、ハワイ州、メイン州、マサチューセッツ州、ミシガン州、ニューハンプシャー州、オハイオ州、オレゴン州、バーモント州、ワシントン州

  • C-: アラバマ州、イリノイ州、カンザス州、バージニア州

  • D+: ニュージャージー州、オクラホマ州

  • D: カリフォルニア州、ノースダコタ州、ペンシルベニア州、ワイオミング州

  • D-: コネチカット州、インディアナ州、メリーランド州、ミシシッピ州、モンタナ州、ネブラスカ州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州

  • F: ニューヨーク州、ロードアイランド州


付録C:各州の詳細(State Details)

以下に各州の法令の長所(●長所)と短所(●短所)を箇条書きで示します(評価の高い州ほど「短所」が少なくなります)。


アラバマ州(Alabama) 

評価:C-長所:

  • アラバマ州法は最終審判で共同親権(joint custody)を明示的に許容しています【25†L1850-1857】。

  • 基本方針を明記:「本州の方針は、離婚・別居後も未成年の子どもが両親それぞれと頻繁かつ継続的に接触できるよう保証し、親が子育ての権利と責任を分担することを奨励する」。

  • 「友好的な親」要素: 共同親権に際し裁判所が「もう一方の親にケアを任せる能力と意向」を考慮することを規定しています。

  • 虚偽申立てへの対処: 引越しに関する親権変更での虚偽申立てには、非金銭的制裁・罰金・訴訟費用を科す規定があります。

短所:

  • 仮の親権命令(temporary orders)で共同親権・共同養育に関する明示規定がありません

  • 基本方針の留意点: アラバマ州法の共同親権基本方針には「共同親権が必ずしも平等な身体的親権を意味するものではない」と明記され、平等な物理的親権ではないことを示しています。

  • 共同養育の推定なし: 仮命令・最終命令ともに共同親権(共同法的親権及び実質的に平等な身体的親権)を優先・推定する規定がありません


アラスカ州(Alaska) 

評価:C+長所:

  • アラスカ州法は、「共同親権が子の最善の利益に適う場合には共同親権を認める」と明示しています。

  • 仮命令発行時に「DV等有害でない限り子は両親双方に実質的に等しくアクセスすべき」と規定し、審理中の期間でさえ平等な接触機会を保障しています。

  • 「友好的な親」要素: アラスカ州法は、DVが無い限り「もう一方の親との密接で継続的な関係を促す各親の意思と能力」を裁判所が考慮するよう定めています。

  • 仮命令時の原則: アラスカ州法はDVケースを除き「子は審理中できる限り両親に等しく接するべき」とし、共同親権でなくとも仮の期間で平等接触を基本原則としています。

  • 最終命令時の接触確保: 最終親権命令でも「可能な限り頻繁かつ継続的な接触」を確保すべしと規定されています。

短所:

  • 基本方針なし: 共同養育に関する基本方針の明示がありません。

  • 物理的親権の弱さ: 最終命令で平等な時間・アクセスを必要としておらず、「できる限り頻繁・継続的な接触」で足りるとしています。

  • 共同養育の推定なし: 仮命令・最終命令ともに共同法的親権または実質的平等な養育時間の優先・推定がありません

  • 虚偽申立て対策なし: DV等の虚偽申立てを扱う特定の法規定がありません


アリゾナ州(Arizona)

評価:A+長所:

  • アリゾナ州法は「子の養育計画は両親双方が共同で法的決定権を持ち、各親の養育時間を最大化するよう定めねばならない」とし、両親の養育時間を可能な限り最大化することを裁判所に義務付けています。

  • 研究に裏付け: アリゾナ州では「養育時間を最大化せよ」という規定が暗に平等な養育時間の推定と解釈されて運用されているとの研究報告があります。

  • 「友好的な親」規定: アリゾナ州法は「友好的な親ルール」を明示的に承認しています。

  • 虚偽申立てへの制裁: アリゾナ州法は「虐待の虚偽申立て」に対する制裁を定めています。

  • 仮命令でも共同養育許容: 仮の期間について共同養育に関する明文規定がないことを除き、大半の点で共同養育を強く支援する法整備がなされています。

短所:

  • 仮命令時の明文なし: 仮の親権命令で共同養育を扱う明示規定がなく、共同養育推定もありません。

  • 理由説明義務なし: アリゾナ州法は共同養育計画を採用しなかった場合の理由説明を裁判所に義務付けていません


アーカンソー州(Arkansas)

評価:A-長所:

  • アーカンソー州法は「共同親権は子の最善の利益に適う」という反証可能な推定を定め、さらに「共同親権」とは「子が両親と時間をほぼ均等かつ合理的に分け合うこと」と定義しています。

  • 平等親権推定が覆された場合でも、「各親の子との時間を最大化しつつ子の最善を図る」よう裁判所に求めています。

  • 「友好的な親」要素: 共同親権判断で考慮してもよい要素として「友好的な親」が挙げられています(義務ではないが考慮可能)。

  • DV例外: ドメスティックバイオレンス(DV)事案では推定を適用しない例外条項を設けています。

短所:

  • 仮命令での規定なし: 仮の親権命令で共同法的親権・実質的平等な養育時間に関する規定がありません

  • 共同法的親権の推定なし: 決定権(法的親権)の反証可能な推定はありません。

  • 「友好的な親」義務なし: 友好的な親要素を考慮する義務もありません(考慮は許容されているのみ)。

  • 虚偽申立て対策なし: DV虚偽申立て対策の特別規定はありません。


カリフォルニア州(California)

評価:D長所:

  • カリフォルニア州法は裁判所に「友好的な親」要素の考慮を義務付けています。

  • カリフォルニア州法は虚偽申立てに対する制裁規定を有しています。

短所:

  • 共同養育推定なし: 共同養育に関する優先・推定規定がなく、むしろCal.Fam.Code§3080で定める共同親権推定は両親合意時のみ適用されます。これは共同養育推定ではなく、適格な親による合意を尊重するだけの規定です。

  • 明示的な非推定: カリフォルニア州法は物理的・法的親権について優先も推定も設けないと明記し、最善の利益に沿うよう裁判所が最大の裁量で親権を決めると定めています。

  • 仮命令での共同養育規定なし: 仮の期間の共同養育を明記した規定がありません。


コロラド州(Colorado) 

評価:C長所:

  • コロラド州法は「基本的に離婚後も両親双方と頻繁かつ継続的に接触するのが当人らの最善であり、適切な場合には子育ての権利と責任を両親で共有すべき」との立法宣言を設けています。

  • コロラド州法は「友好的な親」要素を親権判断で考慮するよう定め、「もう一方の親との愛情ある接触を尊重し継続させる能力」を評価することになっています。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終どちらでも共同養育(共同法的親権・共同身体的親権)を優先・推定する規定がありません

  • 仮命令での規定なし: 仮の親権命令で共同養育を明確に認める規定がありません

  • 基本方針の弱さ: 基本方針は立法趣旨としてあるものの、推定や義務規定ではなく努力目標に留まっています。

  • 虚偽申立て対策なし: DV虚偽申立てに関する特別規定はありません。


コネチカット州(Connecticut) 

評価:D-長所:

  • コネチカット州法は裁判所が親権決定で「友好的な親」要素を考慮できると明示しています(義務ではないが許容)。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終いずれも共同養育(共同法的・共同身体的親権)の優先・推定はありません

  • 仮命令での規定なし: 仮の期間について共同養育を規定する条項がありません

  • 虚偽申立て対策なし: DV虚偽申立てに対処する明文規定がありません。


デラウェア州(Delaware) 

評価:C長所:

  • デラウェア州法は「友好的な親」要素の考慮を義務付けており、むしろ他州のモデルとなる規定です。裁判所が「両親の頻繁かつ有意義な接触」を制限する場合は必ず審理を行い、判決に事実認定と結論を記載しなければなりません。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同養育(共同法的親権・共同身体的親権)の優先・推定規定がありません

  • 仮命令規定なし: 仮の親権命令で共同養育を認める明確な条項がありません


ワシントンD.C.(District of Columbia) 

評価:B+長所:

  • D.C.法は「共同親権(joint custody)は子の最善の利益に適う」という反証可能な推定を明示しています(虐待等の場合を除く)。しかも法的・物理的親権を明確に区別した上で推定が規定され、法的親権に限定されない内容になっています。

  • D.C.法は「両親合意の親権プランは最善の利益に反しない限り裁判所はその通りに命じる」との規定を設けています。

  • D.C.法は「友好的な親」要素の考慮を義務付けています。

短所:

  • 差別的要素考慮禁止: 人種・性別等の差別的要素を考慮できない規定があり(ただし決定的な判断基準とするのを禁じるのみ)、共同養育に直接関係するわけではありません。

  • 仮命令での規定なし: 仮の親権命令に共同養育を明示的に認める規定がありません

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに対処する規定がありません


フロリダ州(Florida) 

評価:A長所:

  • フロリダ州法は「未成年の子にとって両親が平等に時間を分かち合うことが子の最善の利益に適う」という反証可能な推定を制定しています。

  • 裁判所の説明義務: フロリダ州法は「親が合意した内容以外の養育計画を策定する場合、裁判所は明確な事実認定を記す」ことを義務付けています。

  • 「友好的な親」要素: フロリダ州法は「もう一方の親との良好な関係を促し、時間割を守り、必要な変更にも合理的に応じる能力」を親権判断で考慮するよう定めています。

  • 虚偽申立て対策: フロリダ州法は虚偽の虐待申立てを親権判断の要素または制裁の対象としています。

  • DV例外: DVケースでは共同養育推定を適用しない例外規定があります。

短所:

  • 仮命令規定なし: 仮の期間の共同養育に関する明示規定がありません


ジョージア州(Georgia) 

評価:C長所:

  • ジョージア州法は「共同身体的親権」を「子どもが両親とほぼ等しい時間と接触を持つこと」と明確に定義しています。

  • ジョージア州法は「離婚後も子どもが両親や祖父母と継続して接触すること」「両親が子育ての権利と責任を分担すること」を奨励すると明示しています。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終いずれも共同養育(共同法的・共同身体的親権)を優先・推定する規定がありません

  • 「友好的な親」義務なし: 親権判断で友好的な親要素を考慮する義務がありません

  • 虚偽申立て対策なし: DV虚偽申立て対策の特定規定がありません。


ハワイ州(Hawaii) 

評価:C長所:

  • ハワイ州法は「各親が子どもの家族行事への参加を許す行動」「親自身のニーズと子のニーズを分けて考えられる能力」「虐待防止制度の悪用(優位に立つための虚偽申立て)の有無」を親権判断要素として列挙し、子の最善の利益判断に多角的要素を組み込んでいます

  • ハワイ州法は共同養育の最低限の奨励を行っています。

  • ハワイ州法は虚偽申立てを親権判断の要素としています。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同養育(共同法的・共同身体的親権)の優先・推定がありません

  • 仮命令規定なし: 仮の期間の共同養育規定がありません

  • 共同親権の定義が弱い: ハワイ州法の「共同親権」の定義は、法的親権は共有するが物理的親権は「両親それぞれと頻繁継続的かつ有意義な接触がある」だけと弱いものです。


アイダホ州(Idaho) 

評価:C+長所:

  • アイダホ州法は「(DVの場合等を除き)証拠による反証が無い限り共同親権が子の最善の利益に適う」との推定を定めています。

  • アイダホ州法は「共同親権を与えない場合、裁判所はその理由を判決に記さねばならない」と義務付けています。

  • アイダホ州法は共同養育を奨励しています。

  • アイダホ州法の「共同親権」の定義は弱いものの、「共同身体的親権」は「各親が顕著な期間子と過ごすこと」と強く定義されています。

短所:

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに関する規定がありません


イリノイ州(Illinois) 

評価:C-長所:

  • イリノイ州法は仮の親権判断に本判決と同じ基準を用いることを認め、仮の段階でも共同法的・物理的親権を与えることを可能にしています。

  • イリノイ州法は立法目的として「離婚中・離婚後も両親が子どもの養育に最大限関与・協力すること」を掲げています。

  • イリノイ州法は「DV等継続的虐待が無ければ両親の最大限の関与・協力が子の最善」と推定しています。

  • イリノイ州法は親権判断で「もう一方の親との関係維持の意思と能力」を考慮義務付けています。

  • イリノイ州法はいずれかの親の申立てがあれば共同親権を検討する義務を定めています。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終いずれも共同養育(共同法的・共同身体的親権)の推定規定が無く、むしろ「両親の最大限の関与が子の最善」と推定した直後に「共同親権の推定は無い」と明記されています。

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てを扱う規定がありません


インディアナ州(Indiana) 

評価:D-長所:

  • インディアナ州法は「両親が合意しなくても共同法的親権(joint legal custody)を与え得る」と明記しています。

  • インディアナ州法は虚偽の虐待申立てを親権判断の要素としています。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終いずれも共同養育(共同法的・共同身体的親権)の優先・推定がありません

  • 仮命令規定なし: 仮の期間の共同養育規定がありません

  • 共同法的親権の限定: インディアナ州法は「共同法的親権は子どもの物理的親権の平等分担を必要としない」と明記しています。

  • 「友好的な親」義務なし: 親権判断で友好的な親要素を考慮する義務がありません


アイオワ州(Iowa) 

評価:B長所:

  • アイオワ州法は共同法的親権の強い推定を定めています。両親が合意しなくても共同親権を検討する義務があり、もし裁判所が共同親権を認めない場合には明確かつ説得的な証拠に基づく理由を示さねばならないとしています。

  • アイオワ州法は「共同身体的親権を認めない場合には具体的事実認定と法的結論を記す」ことを義務付けています。

  • アイオワ州法は裁判所が両親の育児時間を最大にするよう努めるとし、共同養育を許容しています。

  • アイオワ州法は「友好的な親」要素の考慮を義務付けています。

短所:

  • 仮命令規定なし: 仮の親権命令で共同養育に関する明文規定がありません

  • 共同身体的親権推定の弱さ: アイオワ州では共同法的親権の推定ほどに共同身体的親権の推定が強くありません

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てについての規定がありません


カンザス州(Kansas) 

評価:C-長所:

  • カンザス州法は共同法的親権を優先する旨を規定しています。

  • カンザス州法は「友好的な親」要素の考慮を義務付けており、「もう一方の親との絆を尊重し継続させる意向と能力」を評価するよう定めています。

短所:

  • 仮命令規定なし: 仮の期間に共同養育を認める規定がありません

  • 共同身体的親権推定なし: 法には共同法的親権を優先する規定はあっても、共同身体的親権について反証可能な推定はありません

  • 共同親権推定なし: 仮・最終とも共同身体的親権の優先・推定規定がありません

  • 養育時間推定弱い: カンザス州法は「親は合理的な面会交流を持つ権利がある。ただし子の健康安全が深刻に危険な場合は別」とのみ規定し、平等な養育時間の推定には程遠いです。

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに関する規定がありません


ケンタッキー州(Kentucky) 

評価:A長所:

  • ケンタッキー州法はNPOの主導で2つの大型改正が実現し、法令に「両親の共同親権と平等な養育時間が子の最善の利益に適う」という推定(DV等が無い限り)」を組み込みました。この推定は仮命令・最終命令の両方に適用されます。

  • これらの改正により共同養育基本方針・友好的な親要素・養育時間最大化規定も含まれました。

  • 法改正の結果、ケンタッキー州は共同養育支援が最下位層からトップクラスに躍進しました。

短所:

  • DV虚偽申立て対処なし: ケンタッキー州法はDV虚偽申立てに対処する明示規定を欠きます。

  • 虚偽申立て対処なし: ケンタッキー州法には家庭内暴力の虚偽申立てを扱う規定が特になく、本調査ではそれ以上の短所が見当たりません。


ルイジアナ州(Louisiana) 

評価:B-長所:

  • ルイジアナ州法は共同親権の強い推定(両親合意が無い場合も子の最善なら共同親権を与える)を設けています。合意が無い場合でも裁判所は共同親権を与えるよう義務付けており、片方の親に有利に単独親権を与えるには「明白かつ説得力ある証拠」が必要です。

  • ルイジアナ州法は「友好的な親」要素の考慮を義務付けています。

  • ルイジアナ州法は「子は平等に物理的親権を共有されるべき」という優先を明示しています。

短所:

  • 物理的親権推定曖昧: 共同親権推定が物理的親権にも及ぶかは明確でなく、法文上は明確な物理的親権推定が無い可能性があります。

  • 逸脱理由の記載義務なし: ルイジアナ州法は共同親権推定を逸脱する際に書面理由を要求していません

  • 仮命令規定なし: 仮命令で共同養育を認める明示規定がありません

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てへの特定規定がありません


メイン州(Maine) 

評価:C長所:

  • メイン州法は「離婚後も子どもが両親双方と頻繁かつ継続的に接触すること」「両親が子育ての権利責任を共有すること」が州の政策であると明言しています。

  • メイン州法は「友好的な親」要素の考慮を義務付けています。

  • メイン州法は「ペアレンティング・コーディネーター」(第三者調停役)の任命を認め、両親間の紛争解決を図る制度を設けています。

  • メイン州法は虚偽申立てを親権判断要素にしています。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同養育(共同法的・共同身体的親権)の優先・推定規定がありません

  • 仮命令規定なし: 仮の期間に共同養育を明示的に認める規定がありません


メリーランド州(Maryland) 

評価:D-長所:

  • メリーランド州法は共同親権を裁判所が命じることを許容しています。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同養育(共同法的親権・共同身体的親権)を優先・推定する規定がありません

  • 仮命令規定なし: 仮命令で共同養育を認める規定がありません

  • 「友好的な親」義務なし: 親権判断で友好的な親要素を考慮する義務がありません

  • 基本方針なし: 共同養育を奨励する基本方針や文言がありません。

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに関する規定がありません


マサチューセッツ州(Massachusetts) 

評価:C長所:

  • マサチューセッツ州法は仮命令における共同法的親権の推定を定め、逸脱するには子の最善で無いと認定し書面理由を記すことを義務付けています。

  • マサチューセッツ州法は「共同法的親権」「単独法的親権」「共同身体的親権」「単独身体的親権」を明確に定義しています。

短所:

  • 基本方針なし: 共同養育を奨励する基本方針文言がありません。

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同法的・身体的親権の優先は無く、むしろ「共同法的・身体的親権の推定はない」と明記しています。

  • 身体的親権の定義弱い: 「共同身体的親権」とは「子が両親それぞれと一定期間暮らすこと」とのみ緩く定義されています。

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに関する規定がありません


ミシガン州(Michigan) 

評価:C長所:

  • ミシガン州法は係争中の親に共同親権を助言し、いずれかが求めれば検討義務があると定めています。裁判所が共同親権を認めなかった場合は理由を記録しなければなりません。

  • ミシガン州法は「友好的な親」要素の考慮を義務付けています。

  • ミシガン州法は最低限の共同養育方針を設け、「面会交流は親子の強い関係を育むのに十分な頻度・長さで与えられるべき」としています。

  • ミシガン州法は「明白かつ説得的証拠がない限り面会交流を認める」と規定し、親子接触を非常に強く保護しています。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同養育の優先・推定がありません

  • 仮命令規定なし: 仮命令で共同養育を明示する規定がありません

  • 共同親権の定義弱い: ミシガン州法の「共同親権」定義は、「子が各親と交互に生活する」または「両親が重要事項を共同決定する」のいずれかを指定すればよいとされ、明確に平等な時間を必要としません

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに関する規定がありません


ミネソタ州(Minnesota) 

評価:B-長所:

  • ミネソタ州法は「いずれかまたは両方の親の求めがあれば共同法的親権が子の最善と推定する」と定めています。

  • ミネソタ州法は「共同か単独かで意見が割れても、それだけで不協力と見なさない」と明記し、親の意見対立のみでは共同親権を否定できないとしています。

  • ミネソタ州法は2024年改正で子どもとの「頻繁かつ実質的な接触」を奨励する文言に強化され、「各親が子と25%以上の時間を過ごすのが最低ライン」と明示しました。

  • ミネソタ州法は「最善の利益」標準で面会時間を拡大可能とし、親の面会時間を平等に近づけても他方親の権利制限と見なさないことを明記しています。

  • ミネソタ州法は両親の意見が一致しない場合、裁判所は書面で理由を示す義務を定めています。

  • ミネソタ州法は親権判断に「友好的な親」要素を考慮することを義務付けています。

  • ミネソタ州法は共同養育を円滑にする養育計画の内容を明示しています。

  • ミネソタ州法は養育時間の執行と紛争解決の規定を持ち、迅速手続き・本人申立て可能・違反時の補償時間・罰金等を定めています。

  • ミネソタ州法は虚偽の虐待申立てを最善の利益要素とし、違反は軽罪と定めています。

短所:

  • 共同身体的親権推定なし: ミネソタ州法は共同身体的親権の優先・推定を設けておらず、むしろ「共同身体的親権の推定は無い」と明確に否定しています。

  • 仮命令規定なし: 仮の期間に共同養育を明示する規定がありません


ミシシッピ州(Mississippi) 

評価:D-長所:

  • ミシシッピ州法は親権オプションで共同法的・身体的親権をまず挙げており、これは優先でも推定でもないもののこの選択肢に注意を向けさせる効果があります。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同養育(共同法的・共同身体的親権)の優先・推定がありません

  • 仮命令規定なし: 仮命令で共同養育を明示する規定がありません

  • 「友好的な親」義務なし: 親権判断で友好的な親要素を考慮する義務がありません

  • 基本方針なし: 共同養育を奨励する基本方針文言がありません。

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに関する規定がありません


ミズーリ州(Missouri) 

評価:A-長所:

  • ミズーリ州法は「各親に等しい又はほぼ等しい養育時間を与えることが子の最善の利益に適う」という反証可能な推定を明示しています。

  • ミズーリ州法は親権判断で「友好的な親」要素の考慮を義務付けています。

  • ミズーリ州法は「頻繁で継続的かつ有意義な両親との接触が子の最善」という公共政策を定め、裁判所はそれを最も確保できる親権形態を選ぶよう指示しています。

短所:

  • 虚偽申立て考慮なし: ミズーリ州法は虐待の虚偽申立てを親権判断要素に挙げていません

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに関する特定規定がありません


モンタナ州(Montana) 

評価:D-長所:

  • モンタナ州法は親権判断要素の一つとして「子が両親と頻繁かつ継続的に接触しているか」を挙げ、それが子の最善の利益に適うとしています。

短所:

  • 裁量に留まる: 上記頻繁接触要素は考慮が任意で、考慮しなくても法違反ではありません

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同養育(共同法的・共同身体的親権)の優先・推定がありません

  • 仮命令規定なし: 仮命令で共同養育を認める規定がありません

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに関する規定がありません


ネブラスカ州(Nebraska) 

評価:D-長所:

  • ネブラスカ州法は裁判所が共同養育(共同法的・共同身体的親権)を命じることを許容しています。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同養育の優先・推定がありません

  • 仮命令規定なし: 仮命令で共同養育を明示する規定がありません

  • 「友好的な親」義務なし: 親権判断で友好的な親要素の考慮義務がありません

  • 基本方針なし: 共同養育を奨励する文言がありません。

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに関する規定がありません


ネバダ州(Nevada) 

評価:B長所:

  • ネバダ州法は「離婚後も両親が子育ての権利と責任を共有するべき」との基本方針を掲げています。

  • ネバダ州法は「共同法的親権の推定」を定め、片方の親が子との有意な関係構築を試み努力している場合に推定が適用されます。

  • ネバダ州法は「共同身体的親権の優先」を定め、片方の親が子との有意な関係構築を試み努力している場合に優先されるとしています。

  • ネバダ州法は親権判断で「友好的な親」要素の考慮を義務付けています。

短所:

  • 仮命令規定なし: 仮の期間に共同養育を明示的に認める規定がありません

  • 共同身体的親権の時間規定なし: ネバダ州法は「共同身体的親権」を最低時間割合では定義しておらず、裁判所に平等な時間を推定させる義務もありません。

  • 共同身体的親権推定なし: 共同物理的親権の反証可能な推定は法定されていません

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに関する規定がありません


ニューハンプシャー州(New Hampshire) 

評価:C長所:

  • ニューハンプシャー州法は親権判断で「友好的な親」要素の考慮を義務付けています。

  • ニューハンプシャー州法は非常に詳細な共同養育基本方針を定め、「離婚後も両親が権利責任を共有し、子が両親双方と頻繁継続的に接触すること」を奨励しています。

  • ニューハンプシャー州法は2024年改正で「子が両親それぞれと概ね平等に過ごすことを奨励すべき」との文言を追加し、裁判所がそれを認めない場合は理由を記載する義務も設けました。

  • ニューハンプシャー州法は仮命令で本判決と同様の基準で親権を定めることを認めており、仮の期間でも共同法的・身体的親権を与えることが可能です。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同養育の優先・推定がありません

  • 仮命令で明記なし: 仮の期間に共同養育を明示する規定は暗示的にあるものの明確ではありません

  • 安定性に関わる一文: ニューハンプシャー州法は「ほぼ平等な養育分担は他の形態より変更されやすい」とも規定しており、これは最大接触規定と矛盾し共同養育に不利に働きかねません。

  • 用語の偏り: ニューハンプシャー州法は「居住時間が50%以上の親を“監護親”、50%未満の親を“非監護親”」と定義しており、50/50の場合の呼称がありません


ニュージャージー州(New Jersey) 

評価:D+長所:

  • ニュージャージー州法は基本方針として「離婚後も子が両親双方と頻繁継続的接触すること」「親が権利責任を共有すること」が子の最善であり公共政策であると宣言しています。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同養育の優先・推定がありません

  • 仮命令規定なし: 仮命令で共同養育を明示する規定がありません

  • 「友好的な親」義務なし: 親権判断で友好的な親要素を考慮する義務がありません

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに関する規定がありません


ニューメキシコ州(New Mexico) 

評価:C+長所:

  • ニューメキシコ州法は「親権初回決定では共同親権が子の最善と推定し、共同親権とは各親が子どもに有意義で明確な期間責任を負うこと」と定義しています。

  • ニューメキシコ州法は共同親権申立てについて、許可でも拒否でも理由を明示することを義務付け、「最善の利益でない」という抽象論だけでは不十分と明記しています。

  • ニューメキシコ州法は「共同親権」が必ずしも平等な時間分担を意味しないと定義しつつ、「各親が有意義で明確な期間子の責任を負う」としています。これは裁判所の裁量余地を残す規定です。

短所:

  • 仮命令規定なし: 仮命令で共同養育を明示する規定がありません

  • 「友好的な親」義務なし: 親権判断で友好的な親要素を考慮する義務がありません

  • 基本方針なし: 共同養育を奨励する基本方針文言がありません。

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに関する規定がありません


ニューヨーク州(New York) 

評価:F長所:

  • (該当なし)ニューヨーク州法は共同養育に関して特筆すべき長所がありません。共同養育・共同親権に相当する概念は明示されず、判例に頼っています。

短所:

  • 共同養育推定なし: 共同養育・共同親権に関する明示的規定が一切ありません。ニューヨーク州では共同親権はBraiman対Braiman判例に基づく裁判所判断に委ねられており、法令上の認知がありません

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同養育の優先・推定がありません

  • 仮命令規定なし: 仮命令で共同養育を認める規定がありません

  • 「友好的な親」義務なし: 親権判断で友好的な親要素を考慮する規定がありません

  • 基本方針なし: 共同養育を奨励する基本方針文言がありません。

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに関する規定がありません


ノースカロライナ州(North Carolina) 

評価:D-長所:

  • ノースカロライナ州法はいずれかの親が求めれば共同親権の検討を義務付け、また判決を事実認定で裏付けることを認めています。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同養育(共同法的・共同身体的親権)の優先・推定がありません

  • 仮命令規定なし: 仮命令で共同養育を認める規定がありません

  • 「友好的な親」義務なし: 親権判断で友好的な親要素を考慮する義務がありません

  • 基本方針なし: 共同養育を奨励する文言がありません。

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに関する規定がありません


ノースダコタ州(North Dakota) 

評価:D長所:

  • ノースダコタ州法は親権判断で「友好的な親」要素の考慮を義務付けています。

  • ノースダコタ州法は虐待の虚偽申立てを親権判断要素としています。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同養育(共同法的・共同身体的親権)の優先・推定がありません

  • 仮命令規定なし: 仮命令で共同養育を認める規定がありません

  • 基本方針なし: 共同養育を奨励する文言がありません。

  • 用語の偏り: ノースダコタ州法は「居住時間50%以上の親を監護親、未満の親を非監護親」と規定しており、50/50の場合の整理がつかない状態です。


オハイオ州(Ohio) 

評価:C長所:

  • オハイオ州法はいずれかの親が共同養育計画を提出すれば裁判所に検討義務があり、最善の利益と判断すれば両親に権利義務を配分し共同養育命令を下すよう定めています。

  • オハイオ州法は親権判断で「友好的な親」要素の考慮を義務付けています。

  • オハイオ州法は共同養育を奨励する基本方針家族法改革の検討タスクフォース設置を盛り込んでいます。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同養育(共同法的・共同身体的親権)の優先・推定がありません

  • 仮命令義務なし: 仮命令で共同養育を認める義務はありません

  • 共同養育命令は裁量的: オハイオ州法は共同養育計画が最善と判断しても必ず命じる義務は無く、「裁判所は命じても良い」に留まるとされています。

  • 法改正未反映: オハイオ州法はタスクフォース提言を十分反映した改正がなされておらず、改善の余地があります。

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに関する規定がありません


オクラホマ州(Oklahoma)

評価:D+長所:

  • オクラホマ州法は「友好的な親」要素を奨励しつつ、両親が合意・協力できDV等無い場合には権利責任を共有させることを政策としています。

  • オクラホマ州法は仮命令で共同身体的親権を許容しています。

  • オクラホマ州法は虐待の虚偽申立てを親権判断要素または制裁対象としています。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同養育(共同法的・共同身体的親権)の優先・推定がありません。むしろ「共同法的・身体的・単独親権のいずれも優先推定なし」と明文化されています。


オレゴン州(Oregon) 

評価:C長所:

  • オレゴン州法は養育計画策定時に平等な養育時間を命じうることを明確に認め、親がそれを求めた場合、子の最善でないか危険な場合に限り否定できると規定しています。

  • オレゴン州法は基本方針として「離婚後も親が子育ての権利と責任を共有すること」を謳っています

  • オレゴン州法は親権判断で「友好的な親」要素の考慮を義務付けています。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同養育(共同法的・共同身体的親権)の優先・推定がありません

  • 片方の親の拒否権: オレゴン州法は片方の親が反対すれば共同養育を拒否できる「片親の拒否権」とも言うべき条項があり、これが共同養育推進を弱めています。

  • 仮命令規定なし: 仮命令で共同養育を認める規定がありません

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに関する規定がありません


ペンシルベニア州(Pennsylvania) 

評価:D長所:

  • ペンシルベニア州法は親権判断で「友好的な親」要素を考慮する義務を課しています。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同養育(共同法的・共同身体的親権)の優先・推定規定がありません

  • 仮命令規定なし: 仮の期間の共同養育に関する規定がありません

  • 基本方針なし: 共同養育を奨励する文言がありません。

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに関する規定がありません


ロードアイランド州(Rhode Island) 

評価:F長所:

  • (該当なし) ロードアイランド州法は共同養育に関する長所が特に見当たりません

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同養育(共同法的・共同身体的親権)の優先・推定がありません

  • 仮命令規定なし: 仮命令で共同養育を認める規定がありません

  • 用語の偏り: ロードアイランド州法は常に「監護親」と「非監護親」の表現を使い、共同養育の概念が反映されていません。

  • 基本方針なし: 共同養育を奨励する文言がありません。

  • 「友好的な親」義務なし: 親権判断で友好的な親要素を考慮する規定が無く、判例で補っています(Pettinato対Pettinato判例で義務付け)。

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに関する規定がありません


サウスカロライナ州(South Carolina) 

評価:D-長所:

  • サウスカロライナ州法は親権判断要素に「友好的な親」要素を挙げています

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同養育(共同法的・共同身体的親権)の優先・推定がありません

  • 仮命令規定なし: 仮・最終どちらも共同養育を認める規定がありません

  • 基本方針なし: 共同養育を奨励する文言がありません。

  • 「友好的な親」要素弱い: 裁判所は考慮できるが義務ではありません

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに関する規定がありません


サウスダコタ州(South Dakota) 

評価:B-長所:

  • サウスダコタ州法は裁判所が共同法的親権を命じ得ることを定めています。

  • サウスダコタ州法は仮命令で平等な物理的親権の推定を設けています。

  • サウスダコタ州法は裁判所が(片方の親の反対があっても)子の最善であれば共同身体的親権を命じ得ると明記しています。

  • サウスダコタ州法は共同親権を促進する要素を詳細に規定し、「友好的な親」要素(他方の親を疎外したか)や「共同養育しない場合子が両親からの関与不足で心理的発達が損なわれるか」などを挙げています。

  • サウスダコタ州法は虚偽の虐待申立てを親権判断要素としています。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同養育(共同法的・共同身体的親権)の優先・推定はなく「共同養育推定なし」と明示しています。

  • 基本方針なし: 共同養育を奨励する文言がありません。


テネシー州(Tennessee) 

評価:B-長所:

  • テネシー州法は親権判断で「友好的な親」要素の考慮を義務付けています。

  • テネシー州法は非監護親の権利(学校・医療記録受領、子との電話・郵便接触)を明示しています。

  • テネシー州法は「両親が子どもの人生に可能な限り最大限関与できること」を許容するとして共同養育を奨励しています。

  • テネシー州法は両親合意以外の親権命令では書面事実認定・結論を示す義務を課しています。

  • テネシー州法は虚偽申立てを親権判断要素または制裁対象としています。

  • テネシー州法は子が一方親から保護施設に移された際、他方親との関係を優先検討するよう規定しています。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同養育(共同法的・共同身体的親権)の優先・推定がありません。むしろテネシー州法はそうした推定を否定しています(Tenn.Code – 両親合意時のみ推定)。

  • 仮命令規定なし: 仮命令で共同養育を明示する規定がありません

  • 用語の矛盾: テネシー州法は「最大参加」を奨励しつつ「共同親権推定なし」とも述べ、条文間に矛盾があります。


テキサス州(Texas) 

評価:B-長所:

  • テキサス州法は共同法的親権の推定を設けています。

  • テキサス州法は基本方針として「離婚後も両親が子育ての権利と義務を共有すること」を掲げています

  • テキサス州法は「代替開始・終了面会時間」スケジュールを設け、どちらかの親の要求で適用でき、子どもの約40%の時間を各親が担当することで実質的な共同身体的親権をデフォルト推定しています。

  • テキサス州法は標準面会時間命令から逸脱する場合は書面理由を要求しています。

  • テキサス州法は親合意が無くても「共同管理責任(共同親権)」を命じ得ると明示しています。

  • テキサス州法は虚偽申立てを親権判断要素または制裁対象としています。

短所:

  • 共同身体的親権推定なし: 平等な身体的親権の優先・推定はありません

  • 仮命令規定なし: 仮命令で共同養育を明示する規定がありません

  • 「友好的な親」義務なし: 親権判断で友好的な親要素を考慮する義務がありません

  • 「共同管理責任≠平等接触」条項: テキサス州法は「共同管理責任(共同法的親権)を命じても子どもの物理的接触が平等になるわけではない」と明示し、平等時間を保証しないことを定めています。


ユタ州(Utah) 

評価:B-長所:

  • ユタ州法は裁判所が両親の一方のみの申立てでも共同養育命令を出せると定めています。

  • ユタ州法は「友好的な親」要素を親権判断要素に含めつつも、考慮義務では無いものの要素として明記しています。

  • ユタ州法は共同養育基本方針を組み込んでいます。

  • ユタ州法は共同法的親権の推定を設けています。

  • ユタ州法は「5~18歳の子に対する最低限の面会交流日程」を規定し、非監護親が標準より若干多い面会を選択できるようにしています。

短所:

  • 共同身体的親権推定なし: ユタ州法は共同身体的親権または単独親権について優先も推定も無いと明記しています。

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに関する規定がありません


バーモント州(Vermont) 

評価:C長所:

  • バーモント州法は基本方針として「離婚後も子どもが両親双方と最大限継続的身体的・情緒的接触を持つのが子の最善。ただし子や親に身体的・深刻な情緒的危害が及ぶ場合を除く」と宣言しています。

  • バーモント州法は親権判断で「友好的な親」要素の考慮を義務付けています。

  • バーモント州法は宣誓供述の提出者に対し虚偽DV申立ては犯罪であることを通知する義務を設けています。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同養育の優先・推定がありません

  • 仮命令規定なし: 仮・最終とも共同養育を明示する規定がありません

  • 両親合意無しの場合: バーモント州法は両親合意できない場合は一方に主・単独の親権を与えるよう指示しており、親の拒否が事実上共同養育を阻む形になっています。

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに関する規定がありません


バージニア州(Virginia) 

評価:C-長所:

  • バージニア州法は親権判断で「友好的な親」要素の考慮を義務付けています。

  • バージニア州法は裁判官が判断の根拠を口頭または書面で当事者に伝える義務を課し、同時に親権判断の各要素について判事が見解を示すことを求めています。

  • バージニア州法は仮命令で共同法的・身体的親権を許容しています。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同養育(共同法的・共同身体的親権)の優先・推定規定がありません

  • 仮命令で規定なし: 仮・最終とも共同養育を明示する規定がありません

  • 基本方針なし: 共同養育を奨励する文言がありません。

  • 最大参加要件が弱い: バージニア州法は「最大限の参加を考慮する」と漠然と述べるのみで、共同養育保証には弱い表現です。

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに関する規定がありません


ワシントン州(Washington)

評価:C長所:

  • ワシントン州法は両親がそれぞれ仮の養育計画を提出できるとし、その中に決定権分担や居住計画を含めるよう定めています。これは仮命令に共同法的・共同身体的親権を組み込むことを実質的に可能にしています。

  • ワシントン州法は恒久的養育計画で決定権の配分(共同・単独・分担)の3種類を規定しています。

  • ワシントン州法は共同養育を奨励する文言を含んでいます。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同養育(共同法的・共同身体的親権)の優先・推定規定がありません

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに関する規定がありません


ウェストバージニア州(West Virginia)

 評価:A+長所:

  • ウェストバージニア州法は「平等(50/50)の物理的親権配分が子の最善の利益に適う」という優勢証拠で反証可能な推定を設けています。

  • ウェストバージニア州法は平等共同養育推定が覆された場合、裁判所に「各親の子との時間を最大化しつつ子の福祉を確保する」養育計画を策定する義務を課しています。

  • ウェストバージニア州法は仮命令で「平等(50/50)の物理的親権」を推定し、優勢証拠で反証可能としています。

  • ウェストバージニア州法は共同養育推定に反して平等親権が認められなかった場合、中間控訴裁判所に暫定措置について即時控訴できる権利を当事者に与えています。

  • ウェストバージニア州法はDV事案では平等親権推定を適用しない明確な条項を設けています。

  • ウェストバージニア州法は「両親とも子の養育に十分関与してきた場合、共同決定権(共同法的親権)が子の最善と推定する」と規定し、DV履歴がある場合はそれを適用しないとしています。

  • ウェストバージニア州法は虚偽申立てを親権判断要素または制裁対象としています。

短所:

  • (なし) ウェストバージニア州法は共同養育推進で最も充実しており、特筆すべき短所が見当たりません。


ウィスコンシン州(Wisconsin) 

評価:B-長所:

  • ウィスコンシン州法は共同法的親権が子の最善と推定しています。DVが無い限り裁判所は共同法的親権推定から判断を開始します。

  • ウィスコンシン州法は非常に強力な「友好的な親」条項を有し、DVが無い限りもう一方の親との絆を促す意思能力が親権判断で重視されると規定しています。

  • ウィスコンシン州法は裁判所が「子どもが各親と過ごす時間を最大化するよう」配慮する明文を設けています。

短所:

  • 共同身体的親権推定なし: 共同身体的親権を優先・推定する規定はありません

  • 仮命令規定なし: 仮・最終とも共同養育を明示する規定がありません

  • 基本方針なし: 共同養育を奨励する基本方針文言がありません。

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに関する規定がありません


ワイオミング州(Wyoming) 

評価:D長所:

  • ワイオミング州法は親権判断で「友好的な親」要素の考慮を義務付け、「各親がもう一方の親の養育を邪魔せず尊重する能力」を要素としています。

短所:

  • 共同養育推定なし: 仮・最終とも共同養育(共同法的親権・共同身体的親権)の優先・推定がありません

  • 仮命令規定なし: 仮・最終とも共同養育を明示する規定がありません

  • 用語の偏り: ワイオミング州法は一貫して「監護親」と「非監護親」の用語を使用し、共同養育の概念が反映されていません。

  • 基本方針なし: 共同養育を奨励する文言がありません。

  • 虚偽申立て対策なし: DV等虚偽申立てに関する規定がありません



📘 出典:National Parents Organization

Shared Parenting Report Card 2025(2025年版)

🖋️ 翻訳・構成:坂本 迪宇(採用×家族法を考えるマーケター)

ご支援のお願い親子をつなぐ未来のために

エヴァブレイクの活動は、皆さまからの温かいご支援によって支えられています。いただいた寄付は、以下の活動に大切に活用いたします。

🎤 シンポジウム開催:共同親権を広めるための講演・イベント運営

📚 啓発冊子の制作:市民や議員に配布する分かりやすい資料作成

👨‍👩‍👧 家族への情報支援:困難を抱える家庭に、相談先や正しい知識を届ける活動

 

皆さまのご支援が、親子を引き離さない社会をつくる力になります。

一つひとつのご寄付が、子どもたちの笑顔と未来を守ります。

心より感謝申し上げます。


みんなの銀行(金融機関 0043)

レインボーブリッジ支店(店番 004)

普通預金 6682390

サカモト ユウ

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