採用市場2025:doda × マイナビ転職が示す “採用の未来フェーズ”― 二大媒体から読み解く、中小企業の生存戦略 ―
- 迪宇 坂本

- 10月25日
- 読了時間: 4分

Phase 1:市場変化 ― 採用競争は「再加速」から「再構築」へ
2025年秋。日本の採用市場は明らかに新しい局面に入っています。有効求人倍率は1.20倍(2025年8月・厚生労働省)と横ばいながら、新規求人倍率は2.15倍。
つまり、企業が「より多くの求人を出しても、応募が追いつかない」状態です。
dodaの掲載数は8,525件(10/23時点)、マイナビ転職は44,736件(10/24時点)。
求人は増えている。でも、応募者は“選ぶ側”になっている。今、日本の採用は「量の競争」ではなく、設計力の競争へとシフトしました。
Phase 2:doda vs マイナビ ― 二大媒体の設計思想を読む
🔵 doda:精度と深度のプラットフォーム
掲載数 8,525件/会員数 約1006万人(累計)
特徴:幅広い年齢層(20代〜40代)、スカウト返信率が高い
強み:精度・個別最適に強く、「ピンポイント採用」に最適
採用設計上のポイント:dodaは スカウト主戦・広告補完型に向いています。
営業・建設・技術・物流など、採用難職種ほど反応率が高い傾向。つまり「母集団の深掘り」に向く媒体です。
🔵 マイナビ転職:若手母集団のスピード勝負
掲載数 44,736件/会員852万人/スカウト登録516万人
特徴:20〜30代が約7割、短期転職希望者が多い
強み:量・若手・スピード決着に強く、「育成前提採用」に最適
採用設計上のポイント:マイナビ転職は 広告主戦・スカウト補完型に向きます。
職種では営業・販売・事務・管理が圧倒的に多く、未経験層×教育コストを負担できる企業が勝ちやすい構造です。
Phase 3:媒体選定の「正解」は、業種ではなく“フェーズ”で決まる
森岡毅さんの言葉を借りれば、
「戦略とは、どこで戦うか?を決めること。」
採用でも同じです。
媒体選びの正解は業種ではなく、いま自社がどのフェーズにいるか?で変わります。
つまり、「どの職種か」よりも「どのフェーズか」でメディアの価値は変わる。
dodaとマイナビを比較するのではなく、並べて設計するのが正解です。
Phase 4:中小企業が勝つ「三層設計モデル」
採用で成功している地方・中堅企業は、すべて三層構造を意識しています。
1️⃣ 上層:母集団の獲得(量) → マイナビ転職・Indeed・Googleしごと検索で「見つけてもらう」。
2️⃣ 中層:接点の最適化(質) → dodaスカウトで“会いたい人にだけ声をかける”。 → LINE公式・SMS・メールで即時返信。
3️⃣ 下層:定着とブランド(信頼) → 自社採用サイトで「人を大切にしている証拠」を可視化。 → 口コミ・社員紹介・リファラルを活性化。
これを森岡流に言えば、“ファネル”ではなく**「信頼の構造設計」**です。採用は「マーケティング」ではなく、「人間関係の設計」である。
Phase 5:採用の未来 ― “速さ×温度×データ”の時代へ
これからの採用市場を支配するのは、**「速さ」「温度」「データ」**の3つです。
速さ:応募〜一次面接を2営業日以内に
温度:候補者とのやり取りを“定型文ではなく、温度のある返信”で
データ:応募→面接率→内定率→定着率を毎週モニタリング
AIや自動化ツールが進んでも、人が「会いたい」と思う会社は、温度が伝わる会社です。
数字を追いながら、人の心を掴む。このバランスを取れる企業が、2026年以降の採用で勝ち残ります。
総まとめ:採用の設計は「順番の戦略」
1️⃣ マイナビ転職で母集団をつくり、
2️⃣ dodaダイレクトで個別接触し、
3️⃣ 自社サイト/LINE/SNSで信頼を積み上げる。
これはもう広告戦略ではありません。
採用は、ブランド戦略の延長線上にある。
どんなに小さな企業でも、
「誰を、どんな理由で採るか」を言語化できれば、人は必ず集まります。





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