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中途採用市場、採用単価の傾向と転職者の動向とは?

  • 執筆者の写真: 迪宇 坂本
    迪宇 坂本
  • 2 日前
  • 読了時間: 7分
中途採用市場、採用単価の傾向


採用単価の最新動向


近年、日本の中途採用における企業の採用コストは上昇傾向にあります。


マイナビの調査によれば、2023年に企業が中途採用に費やした年間費用の平均は約629.7万円で、前年(2022年)より約55.8万円増加しました。


下表に2021~2023年の推移を示します。

年度

中途採用予算(万円)

中途採用費用実績(万円)

2021年

544.5

484.3

2022年

618.4

573.9

2023年

770.4

629.7

出典:マイナビ「中途採用状況調査2024年版」(回答企業の平均予算・費用)


このように採用費用は増加基調にあり、少子高齢化による人手不足や企業間の採用競争激化が背景にあると分析されています。もっとも、採用人数も増加しているため、採用単価(1人あたり費用)はおおむね横ばいで、2023年は平均約28.9万円(約30万円)と算出されています。


つまり企業は中途採用者1人あたり約30万円のコストをかけている計算です。


業種別に見る採用コストには大きな差があり、IT・通信・インターネット業界では2023年の平均採用費用が約998.5万円に達し最も高くなっています。


一方で「医療・福祉・介護」業界などは採用人数は多いものの費用は相対的に低く、業種間で費用感にギャップが見られます。例えばIT業界は高度なスキル人材確保のため費用が嵩みがちなのに対し、医療・介護分野では比較的低コストで必要人数を充足している傾向があります。


採用手法別・媒体別のコスト特性も異なります。


一般に、人材紹介会社(エージェント)を利用する場合は成功報酬として採用決定者の年収の約20~35%を支払う必要があり、1人あたり百万円前後の費用が発生するため高額です。


一方、求人サイトなどの求人広告では、掲載料は1件あたり数十万円程度で、2023年の求人広告経由の平均採用単価は約38万円と報告されています。


自社リファラル採用(社員紹介)やハローワーク経由の採用は掲載や紹介に直接コストがかからないため、比較的低コストで済むケースが多く、採用コスト削減にはこうしたチャネルの活用も有効とされています。


実際、2023年は採用費全体が上昇する中で、求人広告1件あたりの採用人数が増加し、広告経由の費用効率は向上しました。企業にとっては、各媒体の費用対効果を見極めて最適な採用チャネルを選定することが重要です。



転職者の動きと傾向

中途採用市場における人材の流動性はこの数年で大きく高まっています。


厚生労働省「雇用動向調査」等によると、2021年を底に転職者数が増加を続けており、2023年にはコロナ禍前のピークに迫る水準となりました。直近の2024年初時点では、過去1年間に転職を経験した人が約313万人にのぼっています。


このように求職者・転職者の母数が増える一方で求人需要も旺盛であり、企業の中途採用意欲は過去最高水準です。


採用単価

図:1社あたりの年間中途採用人数推移(2020~2023年)。2023年は平均21.8人と過去最高を更新し、人材の流動性が高まっている。企業の中途採用人数はコロナ禍の2020年から増加に転じ、採用難にもかかわらず人材確保が活発化している。



応募者数の推移と求人倍率


企業から見ると、中途採用市場は強い売り手市場(求職者有利)になっています。

求人情報サービス「doda」によれば、求人数の増加に対し転職希望者数の伸びが追いつかず、転職求人倍率(求人数÷転職希望者数)は2023年に概ね2.5~3倍台で推移しました。


例えば、2023年12月の求人倍率は3.22倍に達しており、前年同月比+0.68ポイントの上昇となっています。これは求職者数が微減する一方で企業の求人数が増えたことによるもので、多数の求人に対し限られた応募者を企業が奪い合う構図が続いています。


実際、dodaの累計会員数は2023年6月時点で約798万人に達していますが、それ以上に求人件数が増加しており、中途採用では1人の求職者に複数のオファーが競合する状況です。


一方で、求人応募者数そのものも中長期的には増加傾向にあります。総務省「労働力調査」に基づく分析では、転職希望者(転職潜在層)は2020年以降増加し、特に正社員で転職を希望する人が大幅に増えて過去10年で倍近くになっていると指摘されています。


このように「転職予備軍」も拡大しており、人材不足に悩む企業の求人意欲(欠員補充率139.2%)と相まって、求人・求職双方が活発なマーケットが形成されています。



年齢層別の行動傾向


若年層の転職が以前にも増して活発化しています。

近年では35歳未満の若年層が転職者・転職希望者に占める割合が高まっていることが確認されており、実際に直近1年間で転職した人の5人に1人は前職の勤続年数が1年未満でした。


新卒で早期離職し転職するケースが増えており、「終身雇用を前提に長く勤める」という日本型雇用観が薄れてきている傾向が見て取れます。


ミドル層以上(40代以降)についても、転職市場での存在感が増しつつあります。

パーソルキャリアの調査によれば、40歳以上の転職希望者数はこの6年で1.5倍以上に増加し、特に2022年から2023年にかけて大きく伸びました。


実際、40代以上の求職者の新規登録が増加し、企業側も中高年の採用に積極的になりつつあります。また、転職によって年収が増加した人の割合が最も高かったのは40代男性だったとのデータもあり、転職市場における「年齢の壁」は次第に薄れつつあるとされています。


一方で、求職者の意識調査では40代以降の転職者の50%以上が「年齢によるハンデを感じた」とも報告されており、依然として中高年層には慎重な動きも見られます。


それでも専門性の高い人材や管理職クラスでは求人ニーズが強く、経験豊富なミドル層が異業種・異職種へ転身する例も増加しています(40代以上の転職者の約65%は異業種に転職、約3人に1人は異職種に転職)。総じて、年代を問わず転職が「当たり前の選択肢」となりつつあり、若手からミドル層まで各世代で転職市場の動きが活発になっています。



採用チャネル別:スカウト vs 求人広告


採用における企業と求職者の接点も多様化しています。


求人メディアに公募求人を出し応募を待つ従来型だけでなく、企業が自らデータベース上の人材にアプローチするダイレクト・リクルーティング(スカウト採用)が広く普及しました。実際、エン・ジャパンなど業界大手は早くからスカウトサービスを提供しており、エン転職では業界最大級となる約413万人のスカウト可能求職者データベースを保有しています。こうしたサービス上では、多くの求職者が自分のWEB履歴書を公開し企業からのオファー(スカウトメール)を待つ状態になっており、スカウトを希望する求職者数は年々増加傾向にあります。


企業側も、求人広告での応募獲得だけでなく自社にマッチしそうな人材に直接オファーを送る手法を取り入れるケースが増えています。特に即戦力人材の獲得競争が激しい分野では、人材紹介会社による推薦に加え、ビズリーチやdodaのスカウト機能を使って幅広く候補者にアプローチする動きが一般化しました。


スカウト経由と求人広告経由の「反応」の違いとしては、スカウトでは求職者が受け身でも、オファーをきっかけに転職を検討し始めるケースが多い点が挙げられます。


企業から直接声をかけることで、従来は埋もれていた潜在層を掘り起こす効果が期待できます。


一方で求人広告経由の応募者は、最初から自発的・能動的な志向が強く、応募段階で志望度が高い傾向にあります。近年の動向を見ると、求人広告・スカウトいずれの経路でも求職者の反応率は概ね良好で、前述のように2023年は求人広告からの応募者増加で採用数が伸びる企業も見られました


企業側は両方のチャネルを駆使し、求人内容のブラッシュアップや個別アプローチの質向上によって、幅広い層の転職希望者との接点を確保しています。


以上のように、日本の中途採用市場は採用コストが上昇しつつも一人当たりでは概ね30万円前後を維持し、企業は様々な手法で効率化を図っています


同時に、転職者側も増加・多様化しており、若手の早期転職からミドル層のキャリア転換まで動きが活発です。スカウト機能の浸透などにより企業と人材のマッチング手段も広がっており、求人企業は媒体特性や年代特性を踏まえた戦略的な採用活動が求められる状況となっています。


参考資料(出典):厚生労働省「雇用動向調査」、マイナビ「中途採用状況調査2024年版」、パーソルキャリア・doda関連調査、エン・ジャパン他。各種統計・調査結果より作成。



👉 ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


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